スロウ・メロウ


きっとふたりが“付き合う”ことになるのなら、屋上な中庭での時間もこの関係だってなくなるかもしれない。


――…あれ


「……それだな」


ピタリと走っていた足が止まった。ストップウォッチを片手にしていたマネージャーが不思議な顔をする。


「梶間くん!どうし…怪我とかしてない?」


パタパタと慌ただしく走ってくる姿に「ごめん」とだけ返す。


「びっくりしたよ~。まぁそろそろ雨降りだすみたいだから上がるってキャプテンが」

「おう。悪いな、先に行っていい」

「まだ、走るの?降ってきたら上がりなよっ」


小さな背中を見送り、また白線のラインに戻ろうとした時。山代が見えた。


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