スロウ・メロウ
「…山代!」
タオルを持っている所からするともう上がるのか。
俺は何だか堪らなく落ち着かなくてコイツと――山代と思い切り走りたくなった。
「なんだよ」と相変わらず無愛想な山代に構わず続ける。
「久しぶりに一緒走んねえか」
「あぁ?珍しいな……。タイムは」
「別にいーんじゃねえの」
山代の隣で走るのは久しぶりだ。入学当初は結構一緒に走らされてたけどよ。
スタートラインに立ち、チラリと隣を見やれば真剣そのものの山代。……行くか。
「よーい…」
ドンの合図で駆け出した。スタートダッシュは俺が先だった。