dye
はじまり
元凶
廻る廻る…
永久に廻り続けるこの歯車。
止まるのはいつだろうか。
『おかあさーん』
私は街の郊外で生まれ育った。母はシングルマザー。兄弟もいない。
でも楽しく暮らしてた。二人きりでも毎日楽しかった。
『緋凪(ヒナギ)が大きくなったらお母さんと一緒に街に住むんだよ!』
「あらっそれは楽しみね」
毎日こんな会話ばかりしてた。
周りからも二人は仲がいいと思われただろう。いい母親、いい娘…
「やあ、こんにちは。緋凪…ちゃんかな?」
ある日1人の男が現れた。
私はなんだか怖くて母の後ろに隠れたんだ。
「あらあら、怖がっちゃって」
母は微笑みながらいった。
「今日からこの人が緋凪のお父さんよ」
「よろしくね緋凪ちゃん」
何かが崩れ落ちる音がしたんだ。
お母さんと私の空間に悪魔が入り込んだ瞬間だった。