dye

『いやっ!離せ!さわるなっ!』

「うるせーなっ!」

どんっ


物置部屋に突き飛ばされ腰を打つ。

『いった…』


ギシギシ…
木が古いせいか男が歩く度嫌な音がする。

男が一歩ずつ近づいてくる。それに伴って私は後ずさる。

『なっなにするんだよ…』

「ちょっとした仕置きだよ…」

いつまでもにやにやしてる。



後ずさるのも限界で背中が壁に当たる。

「どうした?逃げらんねーぞクククッ」

喉で低く笑う声が不気味だ。



「さあ始めようか」


これが始まりの合図。


男はたばこに火をつけ私との距離を縮める。


『…!』
「かわいー顔してんのにお母さんに似てねーな」
「当たり前よ!似なくて当然ね。汚らわしい…」

(けっ汚らわしい…?ずっとそんな風に思ってたの…)

お母さんは表情一つ変えないで私を見てる。
その目に私はどう映ってる。
その表情の裏にはどうゆう感情がある。


気づいたらロープで腕と足を固定されて身動きできない状態だった。


「ちょっと口も塞ぎなさいよ、大声出されちゃ困るでしょ」
「そうだな」

私はゆうがままにされた。
きっと醜い姿だろう。
頭上からの笑い声に今すぐこいつらを殺したいとそう願った。

「どうしたんだよ。黙りこけて」
『…』
「たくしゃべりもしねーか。気色悪いな」


男は私の顎を掴んでこう言い放つ。


「火がいいか?水がいいか?」

言ってる意味がよくわからない。


「両方がいいんだな」



こうして始まるんだ。拷問が…。

私は毎日のように泣き続けた。




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