dye
それから何ヶ月か月日が過ぎたようだ。
まだ生きている私は執念深いのだろうか?
今は最初の頃と違って忘れたようにあいつは来なくなった。
同じように母も来なくなった。
空腹も喉の渇きも限界でもうここまでかとあきらめてはいた。
『お母さん…最後に…』
最後に緋凪と呼んでほしい…
それが私の願い。
ゆっくり目を閉じればあの頃の優しい顔で笑ってくる母がいる。
「緋凪…」
バッ
突然呼ばれた名前に驚いた。
この声は紛れもなく母のもので私は涙を流した。
『お母さん…お母さん!』
母は無表情。
その手には大きな釜を持っていた。
それが意味すること…考えなくてもわかる。
今から母の手で殺される。
「緋凪…ごめんね」
母は泣いていたような気がする。
初めて母の泣き顔をみた。
『お母さん…今でもお母さんのこと好きだよ』
そうゆうと釜を振り上げおろしてくる。
(最後はお母さんに守られた)
バンッ
「おい!どこにいる!」