dye

『!』

斧が振り上げられたところであいつの声がした。


「どこにいる!」

必死で何かを探すあいつ。
母は斧を捨て男のところにいく。


「どうしたの?」
「いた…早く逃げるぞ!」
「どうゆう意味?」
「ここにいたら俺たちは殺される!」
「殺されるって!」

扉の向こうから聞こえるのは物騒な言葉達。
何者かに狙われているらしい。

「時間がないから早く行くぞ!」
「わかった!少し待ってて!」


そうゆうと母は私のところに来たんだ。


(あーさっさと殺してくれ)


でも私に寄り添った母はあり得ない言葉を吐いた。


「一緒に行きましょ」



(え…)


そう言って私をつないでいた鎖やら綱やらを解いていく。

「何やってんだ!」

でもそれは叶うはずなくて…

「緋凪は私の娘!やっぱり連れて行きたい!」


母は矛盾してると思う。でもそんなことよりその一言がうれしかった。

「連れていける訳ないだろ!足も折ってある!歩けない!重荷だ!」

(そうだ、連れて行ったって駄目もう歩く気力もない)

『お母さん私はいいから…』
「緋凪…」
『早く逃げて…』

掠れる声で私は言った。




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