また一緒に、1本取ろう。
「唯、まだ苦しそうだね」
「無茶しやがって…」
今回の熱中症も、運ぶのがあと少し遅かったら
今ごろどうなっていたか分からない。
俺は、唯が倒れる度に
唯を失うんじゃないかという恐怖に襲われる。
「唯が阿部くんのことを話さなかったのはね、道木のためだったんだよ」
「俺の…ため?」
「道木、部長になって忙しかったでしょ?唯は心配かけたくなくて…黙ってたの」
「なんだよ…それ…」
「唯は道木が大好きだから、負担になりたくなかったんだよ」
俺は唯のこと何も分かってなかったんだ。
自分のことで精一杯だった。
なのに、勝手に怒って唯の話も聞かないで。
倒れる直前まで、唯の異変に気づかなかった。