また一緒に、1本取ろう。






「やっぱり自分で歩く!」


「今の唯と歩いて帰ったら、いつまで経っても帰れねーよっ」


「だって、凌…恥ずかしくないの?」


「好きな女おぶって、何が悪いんだよ」




俺の背中に顔をうずくめて、


唯は急に黙ってしまった。


もしかして具合悪くなってるんじゃ…




「唯っ…気分悪いか?」


「見ないでっ…」




一瞬、真っ赤になった唯の顔が見えて。


それから、小さく「ありがとう」と聞こえた。




片道15分、久しぶりに2人で帰る道。


静かで、心地よくて。




やっぱり、俺は唯がいるだけで十分。


隣で笑ってくれるだけで、幸せだと思った。








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