また一緒に、1本取ろう。
「あの、ね…凌…」
何か言いづらそうに口を開いた唯。
ゆっくり歩き、唯の声に耳を傾けた。
「流星くんの…ことなんだけど…」
「うん」
「流星くん…ね、自分には家族がいないって…言ってたの」
「…そっか」
「すごくっ…悲しそうな顔してて…私には、凌と重なって見えたの…」
「俺…?」
「誰も信じられないって言ってたときの凌と…同じ顔してたっ…」
唯の声が震えていた。
自分が養子だったことを告げられたとき、
俺はどんな顔をしていたんだろう。
悲しくて、誰も信じられなくて、絶望してた。
それでも立ち直れたのは、唯がいたからだ。
唯がいたから、今の俺は笑える。