また一緒に、1本取ろう。
「川瀬は中学のとき、全国1位だろ?」
「2年のときの話ですよ」
「まぁ、少し考えてみてくれないか?」
「はい…」
次の授業は、数学…か。
すでに苦手科目となった数学。
「唯、大丈夫?」
あゆがすごく心配そうな顔をしてる。
でも、今は1人になりたい気分…かも。
なんだか、凌にも会いたくない。
「大丈夫…だよ。でも…ちょっとだけ…」
「…分かった!先生には、保健室に行ったって言っておくね」
すごく、情けない顔してたかも。
察してくれたあゆは、何も聞いてこなかった。
人通りの少ない、屋上に続く階段。
我慢していた涙が、ひとつ、ふたつ。
悲しいわけじゃない。
ただ、考える時間が欲しかった。
少しだけ、時間が必要なだけ。