また一緒に、1本取ろう。
『きゃ――っ…!!!』
唯が叫び、車が急ブレーキをふんだ。
───ガシャンっ…
い…ま…何が…起こった…?
状況が理解できなくて、身体が動かなかった。
俺の目の前には、悲惨な光景が広がっていて。
ぐちゃぐちゃになった車と
唯に覆い被さるじいちゃんの姿があった。
『唯っ…じいちゃん!!』
我に戻った俺は、2人の元へ走った。
どんどん流れる赤い液体。
唯の、震えた声が聞こえた。
『先…生…っ?』
『じいちゃんっ…しっかりしろよ…』
『ゆ…い…っりょ…う…頑張れ…よっ…』
その言葉を最期にじいちゃんは、
優しく笑って、静かに、目を閉じた。
『親父!かーちゃん!唯とじいちゃんがっ…』
あまりにも突然すぎる出来事。
さっきより雨が強く降り、唯が泣き叫んだ。
『嫌ぁぁぁ──…』