僕らの青い夏
前に人がたくさんいて見えないが何やら喧嘩らしい声がする。
「見えないー」
「ひな、ちっちゃいもんね」
諦めようとつま先立ちしていたのを下ろした瞬間…
「おらーっ!!テメーら死にたいのかぁ?」
威勢とともに前にいた野次馬たちが一斉に逃げ出し、ひなたは巻き込まれ、転んだ。
逃げようと立ち上がった瞬間、冷たい何かが喉元に触れた。
「…ふぇっ?」
怖くて目をつぶった。
また男が叫ぶ。
―――何なんだろ…怖いよ…。
恐る恐る目を開くと目の前には今にもこちらに向かってこようとしている不良がいた。
「おっさん、喧嘩はそんな卑怯なことしねぇで正々堂々戦えや!!」
不良の中で先頭に立っていた黒髪の男が叫んだ。
「…助けて」
雛菊はまだ見えない喉元の冷たい何かに怯えながら、声を絞り出した。
雛菊の声は小さかった。
だが