*.ふいうちキスにご用心*.

スタスタと蒼の前まで歩いていくと



「お前、風邪ひいてんのに、そんな早歩きしていいの?」



えぇ、そりゃ良くないですとも。



でも、作戦実行を試みるわたしとしては



そんなこと考えてる余裕なんてないんです!



ソファに座ってる蒼の横にちょこん、と




座って、蒼のことを見上げてみる。



これで、ちょっとはときめきくれるかな?



という願いを目に込めて。



そーすると蒼が急に慌て出して、



「お、お前、大丈夫か?



そんな目に涙溜めて。



頭痛いの?それともお腹?喉?



あ、喉痛いから話せないのか?



さっきから無口だと思ったら。」



いつもの蒼からは、想像できないくらい



優しい声で、いたわってくれる蒼に



不覚にもきゅうんとする。



…はっ!こりゃいかん!



作戦失敗じゃないか。



ドキッとさせるどころか、



わたしがドキドキさせられちゃうなんて。



おのれー、蒼!

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