眠り姫が目覚める前に

オレはまた視線をカレーに戻した。


料理上手なのかどうかはわかんねぇけど、日向のカレーは結構美味い。


「すげー。オレの好みわかってんじゃん」


オレの好きなチキンカレー。


苦手なにんじんは、入っていることが気づかないぐらい小さく刻まれていた。


こういうとこ、ガキん頃から一緒にいるから、お互いの好みもなんとなくわかってる。


「あ……やべ。なんかうれしいかも……」



「んー……」


オレはその小さな声に振り返った。