365日+1日嬉しくなっちゃう言葉たち。短編集!

私は
また
ここにきてしまった。



今年も変わらず
梅の花がキレイに咲き


その中で私がいた。


数年前の今頃
雪がハラハラ舞っている梅の花の中



「 さむいねっ! 」



って
あの背中に抱きついた歩道橋

となりにいるはずの
あの温もり…
今は…



もう
ここにはこないほうがいい。

一人できても
思い出として片付けられないうちは…。



私は
またここにいる。



いつしか桜も咲きだし
新しい季節がきたことを
花びらが私のクチビルに軽く触れて
私へと伝えてくれた。


優しい香りに包まれた風


去年の今頃も
あなたに包まれていた



「 そばにいろよ! 」



っと
強く手を握りしめてくれたエレベーター
力強いあなたからの体温が右手にあった
あの時間…


もう戻らない…


ここにある私の記憶たち



「 もう終わりにしよう。 」



その言葉を聞いたベンチで
今日から
私も一人歩いていけることを誓い



「 ねぇ…。 」



あなたに似た声に振り向くことも
もうしない。



もう戻らない
この時間

ここにある私の記憶たち
全ては
ここに残していこう。



あの日も二人でベンチからみた電車

今日も
このベンチから見える
今しかない駅から
私の新しい一歩を…



どこまでも広がる青い空を見上げて
ゆっくりと電車に乗り込んだ。





end



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