新しい恋のはじめかた



この人…メルアド交換が目的……?



「すみません、ここではそういうの禁止なんで…」



あたしはそれだけ言って立ち去ろうとした。



しかし…



「そんな固いこと言わないでさー、いいじゃん。メルアドくらい」

「ちょっ……」



お客の男の人は立ち去ろうとしたあたしの腕を掴んだ。



「放してください」

「メルアド教えてくれたらいいよ?」



どうしよう……お客さんだから強く言えないし……。



「ーーー…すみません、放してくれませんか?」



どうしようか考えていたら、頭上から低めな声が聞こえてきた。



「利玖…」

「何、お前」

「この子の彼氏。それに、ここじゃメルアド交換とか禁止なんで」



利玖って…こんな声低かったっけ……?



お客さんのことなんて忘れてあたしはそのことを考えていた。



< 120 / 123 >

この作品をシェア

pagetop