新しい恋のはじめかた
この人…メルアド交換が目的……?
「すみません、ここではそういうの禁止なんで…」
あたしはそれだけ言って立ち去ろうとした。
しかし…
「そんな固いこと言わないでさー、いいじゃん。メルアドくらい」
「ちょっ……」
お客の男の人は立ち去ろうとしたあたしの腕を掴んだ。
「放してください」
「メルアド教えてくれたらいいよ?」
どうしよう……お客さんだから強く言えないし……。
「ーーー…すみません、放してくれませんか?」
どうしようか考えていたら、頭上から低めな声が聞こえてきた。
「利玖…」
「何、お前」
「この子の彼氏。それに、ここじゃメルアド交換とか禁止なんで」
利玖って…こんな声低かったっけ……?
お客さんのことなんて忘れてあたしはそのことを考えていた。