新しい恋のはじめかた



「…ちっ……もういいや」



利玖が怖くなったのか、お客さんは利玖の言うことに従った。



「利玖ありがとー…」



おかげで助かった……。



「花音、ちょっと…」

「え?ちょ…利玖?」

「奈保、オレと花音ちょっと抜けてくるから」

「はいはい…」



利玖は奈保にそう伝えると、あたしの手を引っ張って教室から出た。



「…え…利玖、ここ…」



そして連れてこられたのは隣の準備室。



「どうしたの、利玖…」

「…………花音、その格好何?」



さっきよりも低い声で利玖はそう言った。



やっぱり引かれた……!?



「これは、不思議の国のアリスの格好で…」

「それは、わかるから。………はぁ…」



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