新しい恋のはじめかた
連れ去られたあたし
*
「……黒瀬利玖…」
「黒瀬…。返してくれないって…?」
どういうこと?みたいな顔で楓は黒瀬利玖に聞いた。
「ちょっとな。行くぞ花音」
「…えっ!?どこに!?」
黒瀬利玖はあたしの腕を掴み、スタスタと歩き出した。
「…ど、どこに行くの!?」
廊下にはあたし達の足音が響いている。
「……屋上かな」
「屋上…?」
黒瀬利玖はあたしの腕を掴んだまま、
屋上に着いた。
「……うわぁ…。桜吹雪みたい…!!」
屋上に着くと、まだ咲いていた桜の木の桜が風に吹かれて
すごくキレイだった。
「……やっと笑ったな?」
「……?」
「ずっと辛そうな顔してたから」
黒瀬利玖はフェンスに寄りかかって座った。
さ、様になっている……。