新しい恋のはじめかた
「花音も座りな」
「うん……」
黒瀬利玖にそう言われて、あたしは黒瀬利玖と少し距離を置いて座った。
「そこじゃダメ」
「何で…?」
「もっとこっち」
「……わっ…」
黒瀬利玖はあたしの腕を引っ張って
自分のほうに寄せた。
「……なぁ…」
「ん?」
「泣いていいからな」
「泣く?何で?」
何言ってるの黒瀬利玖……。
「あいつの前では無理して笑ってるんだから俺の前では素直に泣け」
「……っ…」
どうして黒瀬利玖はわかるんだろう。
あたしが楓の前では作り笑いをしていることが…。
奈保しか気づかなかったのに………。