新しい恋のはじめかた
「………ふぇっ……うっ…」
「やっと泣いた」
「…うぅっ……本当はっ…作り笑いなんてしたくないっ…」
「ん」
「でも…作り笑いしないとっ…楓の前で泣いちゃいそうでっ……」
「ん」
「うっ……くっ…」
すると黒瀬利玖はあたしの頭をなで始めた。
「俺の前では泣け」
「……うぅっ……」
あたしは黒瀬利玖に頭を撫でられながら
しばらく泣き続けた。
「――…あのっ…もう大丈夫…」
「平気か?」
「ん。何かスッキリした」
「そうか」
黒瀬利玖は撫でていた手を離した。