新しい恋のはじめかた



「…花音好きなやついたんだ」

「う、うん。あたしも好きだってことに最近自覚してっ…」

「そっか…。まぁ…帰るか」

「…え!?」



帰るかって、あたしまだ利玖に告白してないっ……。



「まっ、待って利玖!!」



鞄を持った利玖は本当に帰ってしまいそうだから、あたしは利玖の手を咄嗟に掴んだ。



「……待って。まだ話しが…」

「………こういうのは…その好きなやつにやれよ」



利玖のその言葉と同時に利玖の手を掴んでいたあたしの手が振り払われた。



「……悪い。先帰る」



利玖はそう言って、教室から出ていってしまった。



………利玖…勘違いしてるよ…。



あたしが好きなのは他の誰でもない利玖だよ?



あたしはもう前から利玖に惹かれていたのかもしれない。



でも…楓が好きだった自分がいてそれを気付けなかった。



「…うぅ…利玖っ…」



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