新しい恋のはじめかた
久遠くんは、あたしの手を握ってブンブン振ってくる。
げ、元気だな……。
「花音ちゃん、利玖と付き合ってるって本当?」
「…うん。あれ?利玖のこと知ってるの?」
久遠くん、さっき“利玖”って呼び捨てだったよね?
「あぁ。俺、去年利玖と同じクラスだったからさ」
「そうなんだ」
「それにしても花音ちゃん可愛いねー。利玖が溺愛してるわけだ」
「そんな!!あたし、可愛くないよ!!」
「いやいやー、花音ちゃん可愛いよ。それに、1年のときの春休みなんて利玖は花音ちゃん話しかしなかったし」
久遠くんはニヤニヤしながら、利玖の話をいっぱいしてくれた。
「ーーー…お、練習終わったみたいだね?」
「本当だ。久遠くんのおかげで楽しかった!!」
「そう?……ところで、花音ちゃん悪いんだけど…もうちょっとこっち来て?」
「うん?」
久遠くんの言う通り、あたしは久遠くんのほうに近づいた。
「えっ!?」
「くくっ。ごめん、もうちょっとこのままでいて?」