にゃあー!とお鳴きなさい。
声を頼りに、ぐっと首を上に上げた。
ソファーに腰掛けている女の人の顔は、背後にある窓から差し込む明かりで逆光になって、よく見えなかった。
誰?
誰なんだろう....。
「鳴かない気ね?---いいわ、あなたがその気なら、私が鳴かせてあげる」
え?
「にゃあ?」
「そんな風に鳴いていられるのも今のうちよ」
そう声がしたとたん、両脇に手を入れられ、体がふわっと一回転した。
!?
抵抗する間も無いほど、易々と、それはいとも簡単で----
男子中学生をこんな風に出来る女の人なんて----
ありえない。
仰向けに寝かされて、恥ずかしさいっぱいに女の人を見上げたけれど、やっぱり顔は見えない。
抵抗しようと思えば、出来たはずだった。
そうしなかったのは、女の人から溢れる淫猥なオーラに、(鳴かせてあげる)彼女のその言葉に妙な期待感を抱いたせいだ。
でも、それ以上に部屋に充満するなんとも言えない香りのせいで、体が痺れたように動くことが出来なかったんだ。