にゃあー!とお鳴きなさい。


声を頼りに、ぐっと首を上に上げた。


ソファーに腰掛けている女の人の顔は、背後にある窓から差し込む明かりで逆光になって、よく見えなかった。


誰?

誰なんだろう....。


「鳴かない気ね?---いいわ、あなたがその気なら、私が鳴かせてあげる」


え?

「にゃあ?」


「そんな風に鳴いていられるのも今のうちよ」


そう声がしたとたん、両脇に手を入れられ、体がふわっと一回転した。


!?


抵抗する間も無いほど、易々と、それはいとも簡単で----


男子中学生をこんな風に出来る女の人なんて----


ありえない。


仰向けに寝かされて、恥ずかしさいっぱいに女の人を見上げたけれど、やっぱり顔は見えない。


抵抗しようと思えば、出来たはずだった。


そうしなかったのは、女の人から溢れる淫猥なオーラに、(鳴かせてあげる)彼女のその言葉に妙な期待感を抱いたせいだ。


でも、それ以上に部屋に充満するなんとも言えない香りのせいで、体が痺れたように動くことが出来なかったんだ。



< 14 / 26 >

この作品をシェア

pagetop