にゃあー!とお鳴きなさい。


「そうよ。”こねこちゃん”」


..どきん!


そう言って、ふふと笑った彼女に、心臓がどきんと跳ねた。


「私は、”夏梅(なつめ)”。あなたの”かいぬし”よ」


「...あ、あのぉ---契約とか、かいぬしとか、...よくわからないんですけど...それに、あのぉ..”夏梅さん”て、珠樹先生?」


頭の中がごっちゃになって、整理がつかない。


珠樹先生であろう彼女は、”夏梅”だと言うし....。


「夏梅でいいわ。さん付けで呼ばれるのは嫌いよ。そうね...あなたに今必要なものは..これね」


俺の質問は無視して、ソファーの隅に置いてあった手鏡を、俺の顔が映るように差し出してきた。


覗き込むと、月明かりに照らされた”黒い”顔が映った。


白い包帯が、痛々しい程に黒に映(は)える。


黒くて、ふわふわで、どんぐり眼の”顔”?中でも一番気になったのは---
---


「..あのぉ、えっと、夏梅?」


「なに?」


「これって、もしかすると”猫耳”ですか?」






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