にゃあー!とお鳴きなさい。
「ええ、そうよ。それ以外に何があると言うの?」
そう言って、俺の両脇に手を差し入れ俺の体を持ち上げた。
ふわりと、軽々しく、そして優しく----
彼女が動くと、なんともいえない香りが鼻をつき、思考回路が途切れていく。
---だめだ...瞼が重い。
だけど、まだ聞きたいことが山ほどある。
落ちそうになる意識を奮い立たせて、夏梅の顔をじっと見つめた。
「俺は、誰なんですか?何なんですか?」
そうだ。
おれは、誰なんだ?何なんだ?この姿はどう見ても-----
「---」
俺の目をじっと見つめながら、黙って俺を見つめる夏梅。
今にも聞こえてきそうなため息に背中の毛が一斉に粟立った。
そうだ、答えなんてわかっている。
鏡に映ったこの顔は、どう考えたって
”猫なんだ”から。