にゃあー!とお鳴きなさい。

二匹目は俺?




「あなたは、飼い猫よ」







その声に、飛び起きた。





目覚めたのは、いつものベッドの上。


背中はぐっしょりと濡れていて----。


「...夢?」


だよな。


俺が猫になるなんて、可笑しい。


しかも、黒猫なんて。


どちらかといえば、三毛猫が好きなんだよな。


真っ黒なんて、縁起が悪いじゃないか?


天井を見上げながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。


「ちょっと、早く起きなさい!海君来ちゃうわよ!」


部屋のドアをドンと一発叩きながら、母さんが廊下を通り過ぎた。


目覚ましを見ると、八時。


慌てて、パジャマを脱ごうとして、ほのかに香る匂いに、夢の中の夏梅の香りがダブって-----


「..まさか、夢じゃないのか?」


そう呟いた声がばかばかしくて、笑ってしまった。


ありえないじゃないか。


猫なんて。


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