。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「ちっちゃい生き物って。どうせあたしゃチビですよ」
あたしは、戒やキョウスケと20cm以上の身長差がある。
叔父貴とは30cm以上。
ホントはイチみたいにすらりと高い身長が欲しかった。
あれぐらい身長があれば(ついでに言うと脚も長ければ)きれいなお洋服を、かっこよく着こなせるのに…
小さい頃牛乳いっぱい飲んだのに。身長だけは…ってか脳みそもだけど、成長してくれなかったんだよなぁ。
む゛~~と唸ってキョウスケを見上げると、
「ちっさくて、可愛えやないですか」
キョウスケはほんの少し口元に淡い笑みを浮かべて、あたしの頭をぽんぽん。
ドキッとして、あたしが目をまばたくと、キョウスケは少しだけ笑顔をぎこちなくさせてすぐに手を引っ込めた。
「あ、そうだ。お嬢、こないだ借りていたドクターの白衣ですが、きれいに漂白できましたよ」
洗濯籠を抱えた方とは反対の方の手で、キョウスケが持っていた白衣をあたしに手渡してくれた。
「さ、サンキュー…」
妙にぎくしゃくしてしまうのは、こないだこいつに告白されたことを意識しているのか、
それともあたしはやっぱり叔父貴とあった出来事を後ろめたく思っているのか―――
白衣を受け取ってちょっと広げてみると、
「わ。真っ白。きれいになった♪ってあれ??」
広げた白衣のほんの違和感。
「どうしました?」
「えっと、これってこんなんだっけ?」
確かに胸ポケットには“M.Tokita”って青い字で刺繍されてるし、デザインやサイズも合ってる気がしたけど…
「確か白衣のボタンが二つ穴ではなく、四つ穴だった気が……」
「気のせいじゃないですか?それはドクターの白衣ですよ」
キョウスケはいつもどおり無表情。
そう言われると、気のせいな気がしてきた。
ま、いっか。