。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
白衣を受け取って、あたしは金魚を戒の部屋に置いてきた。
“戒へ。花火大会のお土産です。可愛がってね”
と、短い置手紙を添えて。
その日、戒はバイトに出る時間までに家に帰ってくることはなかった。
同じ時間にシフトを入れてたわけだけど、店には時間通りきっちり現れ、普段どおり仕事に励んでいた。
「どこ行ってたんだよ」
その一言が言い出せないあたし。
バイトはあたしの方が早くあがり、時間差で帰ってきたあいつは家の中でも普段通り。
昨日食欲がなさそうだったのに、今日はいつもどおり旺盛な食欲だったし。
「タクさん、この揚げ出しナス要らないの~?食べないんなら僕が食べてあげる♪」
なんて言ってタクのおかずまで奪っているぐらいだったからな。
「要らないなんて一言も言ってねぇだろ!ってか返せ!!」とタクが身を乗り出し、
「うっせぇ!食事ぐらい静かにしろ!!」
バン!とあたしがちゃぶ台を叩くそのタイミングまでもいつも通り。
結局最後には、
「タクさん、俺のをあげますよ」とキョウスケが自分の分を差し出して、喧嘩(?)は治まり。
ってか毎度同じみのパターンだよな。
昨日の変な雰囲気がまるで嘘のようだった。
―――
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相変わらず賑やかな食事を終えて風呂に入り終わり、何とな~く居間を覗くと、戒の姿はなかった。
キョウスケは壱衣とタクに挟まれて、強引に麻雀をつき合わされていた。
キョウスケがここに居るってことは、あいつは今一人ってことか……