。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



戒―――…あいつ、金魚可愛がってくれてるかな。


マメな性格ではなさそうだし、


「金魚なんて要らねぇし」なんて思われて、そのまま放置かも…


ちょっと金魚の様子を見るつもりで、戒の部屋の襖をそろ~り…と開けると、


「クミ、エリ、マキコ★ほら、ご飯の時間だぞ~♪たくさん食っていい女になれよ!」


と何やら楽しげに笑い、金魚鉢の上から餌をぱらぱら。


「クミ、元気ないな。どうした?失恋でもしたか~?男なんて星の数ほど居るから安心しな。お前はいい女だ!」


と言って水槽をじっと見つめてるし。


…………


可愛がってはくれてるみたいだけど…


可愛がり方が何かイヤ!!


じとっと襖の隙間からその様子を窺っていると、


「朔羅?」


前触れもなく戒が振り返り、あたしはその場で固まった。


逃げ出したら余計こじれそうだし、そもそも話をしたくてここに来たわけだから、いい加減こいつに向き合わなきゃ。


「…そ、その金魚ってみんなメスなの?」


何から切り出していいか分からなかったから、とりあえずすぐに涌いた疑問を口にしてみた。


「いや、知らん」と戒はきっぱり。


「オスだったらどうするんだよ」


「オスだったら……それはつまりオカマになるってことか…俺のハーレムを作るという壮大な計画が崩れるな」


ハーレム…壮大……?


お前ってやつぁ。




「てか金魚でハーレム作るなよ!



あたしが居れば十分だろ!?



そいつらは全員オスだ、オス!!(ホントのところはどうだか知らないけど)野郎だ、分かったか!」





あたしは思わず怒鳴っていた。





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