。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
類似したDNAを持つその血が、あたしの目の裏に鮮やかに蘇る。
そう
あれは
“雪斗”の血だ―――
この人の中にも、あの悪魔のような男の血が流れてる。
叔父貴はあたしに引っかかれて驚いたように目を開き、あたしを凝視してきた。
あたしは目をいっぱいに開き、その視線を跳ね除けるかのようにただ静かに睨み返した。
「朔羅、すまなかった。乱暴なことをして」
申し訳無さそうに眉を寄せ、あたしの方に伸ばしてきた手を、あたしはまたも強く払いのけた。
バシッ
乾いた音が宙に鳴り響き、その音がやけに大きく鼓膜を震わせる。
自分の中の血が喚く。
本能が騒ぐ。
恐怖よりも、戦闘意識の方がまさった。
「あたしに触らないで!」
もう一度怒鳴ると、叔父貴は目を開いてあたしを見下ろしてきた。
驚きと悲しみの表情が交互にやってきては複雑に表情を歪める叔父貴。
大好きだった。
この腕に抱きしめられると幸せだった。
でも現実は―――
「朔羅―――……」
困り果てた叔父貴が再び手を伸ばしてきて、あたしを宥めようとする。
今度は手を払うことはせず、代わりにあたしは固定されていない方の膝を折り、
叔父貴のわき腹に命中させた。
「―――って…」
叔父貴が腹を押さえながら一瞬、苦痛に表情を歪めた。その隙をついて叔父貴の下から逃げ出そうとしたが、
やはり
叔父貴の方が1秒程早かった。