。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「てかお前ってどうゆう付き合いしてたんだよ。買い物ぐらいカップルで一緒に行くだろ?」
「そりゃ一回や二回は。でも女の服選びって何であんなに長いんだ?『どっちがいい?』って聞かれて、
どっちでもいいよみたいなこと答えたら、怒られるしさ~」
ムズカシイ。戒はう゛~んと唸りながらも、ハンガーに掛けてある一枚のワンピを手に取った。
「まぁお前気が短いしな。向いてないだろな。
その点キョウスケは律儀に付き合ってそう。
叔父貴の場合は店一軒買い取る勢いだよな!」
何気なく言って「あはは」と笑い声を上げたけど、戒は黙ったまま口元に淡い笑みを浮かべただけだった。
あたしの顔が笑顔を残したまま変な風に固まる。
「ま。男なんて服買うときは大体即決だからな。あれこれ悩んだりしない。直感が命!だ」
戒は冗談ぽく言って話題を変えると、
「ほら、これなんかどうだ?お前に似合いそう」
そう言ってにこにこワンピをあたしの前に当てる。
淡いブルーと白の細いストライプ柄のワンピ。胸元に僅かにフリルがあしらってあって、ウェスト部分はリボンを結ぶようになっていた。
「可愛い!……けど、これキャミワンピだぜ(肩紐が細い紐になってる)!?あたしには無理!」
ノースリーブだったらギリギリいけるけど、キャミ一枚ってちょっと抵抗が……
「お前肌白いし、似合うって!ほらっ試着試着~」
と言って戒は強引にあたしを試着室に入れる。
相変わらずマイペースってか強引なヤツだ。
ま、いっか。とりあえず着替えている間に考えをまとめよう……
そう思って着替えをしている最中だった。
シャッ!
カーテンがいきなり開いて、戒が顔だけを試着室に突っ込ませた。
「まだ~?」
ほとんど着替え終わりだったから良かったものの、
「この変態やるぉう!」
あたしは思い切り戒にパンチを入れたが、こいつはあっさりと避けた。
「お!似合うじゃ~~ん♪」
と鏡に映ったあたしを見て、満足そうに笑みを浮かべているし。