。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「オピウム―――……」
戒が一層目を開いて、その場で固まる。
これには女の人どころかあたしも怪訝そうに眉をしかめた。
「戒。この香水がどうしたんだよ」
ちょっと手を引くと、
「すんまへん。教えてくれておおきに」
ぎこちなく女の人に頭を下げ、あたしの手を強く引っ張って香水売り場から遠ざかるよう、歩き出した。
「ちょっ!戒っ!!どうしたって言うんだよ、お前!変だぜ!?」
香水売り場が視界に入らなくなったところで、
「あのオピウムって言う香水な。彩芽さんがつけてた香水や―――」
へ……そうだっけ……
どっかで嗅いだ覚えがあると思ったら、彩芽さんだったかぁ。
戒の視線はいつものやわらかいものから一転、
それはたまに見せる獰猛で気高い獣の―――虎の眼だった。
「でもそれが何だよ…どうしちゃったって言うんだよ。怖い顔して…」
「オピウム。
意味は“阿片”―――」
戒は鋭い眼光を湛えたまま、静かに言い放った。
オピウム…それは―――阿片―――…