。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


手を繋いでショッピングセンターの出口へ向う。


行きはあんなに楽しくて足取りも軽かったのに、今はひたすらに―――重い。


あたしも帰りたくないよ。


まだ一緒に居たい。


そんなことを考えていると、


ぐいっ


戒がまたも強く腕を引っ張った。


「?どした?」


「……いや…あのさ!俺、本屋行きたいんやった。少しだけ付き合うてくれへん?」


戒が無理やりと言った感じで笑顔を浮かべて、ビルの奥へ目配せする。


「う、うん!そいやぁそーだったね!!」


少しでも今は二人きりでいたい。


そこが本屋であろうと、服屋であろうと―――戒とならどこへでも行きたい。


「…お前、往生際が悪う男や思うたやろ…」


バツが悪そう鼻の頭を指で掻き、戒が少しだけ恥ずかしそうに顔を伏せる。


「う、ううん!!あたしも……」





あたしもまだ帰りたくなかった。


戒と一緒に居たい!





この一言が言い出せないあたし。


「本屋あたしも行きたかったし、ちょうど良かった…」


そんな言い訳をすることが精一杯。


戒はほんの少し笑っただけだった。




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