。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


戒の見たかった本は文庫本コーナーで、漢字だらけの作者がずらりと並んだコーナーだった。


少女マンガとファッション雑誌しか読まないあたしには無縁の世界。


見るだけで頭が痛くなってくる…気がする。


「お、新刊出てる」


戒が平積みにされているハードカバーの本を一冊手にとり、あたしも戒の手元を覗き込んだが、何だか難しい漢字がいっぱいで、見ても分からなかった。


だけど本を見つめる戒の視線は真剣そのもの。


そいやぁ本好きだって言ってたしな。


「あ、あたし…あっちの雑誌コーナー行ってくる。戒はここでゆっくりしてて」


あたしが苦笑いを浮かべて遠ざかると、戒はほんの僅か笑顔を浮かべてあたしの手を離した。


戒の熱い体温が手のひらから遠ざかり、急に寂しくなって、それでもあたしはその場から離れて一人雑誌コーナーに向った。


何となく手に取った雑誌の「雑談コーナー」に、『カレシに浮気がバレたらどうする!?』と言う題目があって、


ドッキーン!


あたしは思わず雑誌を落としそうになった。


な、何てタイムリー!


ってかあれは浮気に入るのだろうか…


ガシャーン


あたしの目の前で牢屋の格子が降りた気がした。


『被告人、龍崎 朔羅は浮気の罪で、刑に処す!』


ええ!?


『残念だよ、朔羅。俺は罪人とは付き合えない。ムショで琢磨さんと仲良くな』


ま、待って戒ーーーー!




「そんなのいやぁあああ゛!!」



あたしは頭を抱えて叫びだした。





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