。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
急に叫びだしたあたしを、近くで同じように立ち読みしていた客たちが怪訝そうに(あるいは迷惑そうに)顔をしかめて視線を逸らす。
は!そうだった。ここは本屋だ。
危うく妄想にとり憑かれるところだったよ!
気を取り直して…
雑誌をめくろうとしたら、
チャリラ~♪
今度は聞き覚えのある極妻の着信メロディが。
んげ!
大音量で流れるそのケータイの着メロに、今度こそはっきりと客たちが後ずさるのが分かった。
慌ててケータイをバッグから取り出して手に取ると、サブディスプレイには
着信:叔父貴
と、なっていて、あたしは違った意味で固まった。
な、何でこのタイミングで掛かってくるの?
それはまるではかったように―――
思わず叔父貴が近くに居るのかと思ってキョロキョロしたが、あたしの視界に叔父貴のスラリと高い…そして美しく目立つ姿はなかった。
~♪
着信音は鳴り続ける。
ど、どうしよう……
でも悩んだのは実際数秒ほど。あたしの指は自然にケータイの電源を切っていた。
まるでシャットアウトするように、
叔父貴からの着信を―――拒否してしまった。