。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



急に叫びだしたあたしを、近くで同じように立ち読みしていた客たちが怪訝そうに(あるいは迷惑そうに)顔をしかめて視線を逸らす。


は!そうだった。ここは本屋だ。


危うく妄想にとり憑かれるところだったよ!


気を取り直して…


雑誌をめくろうとしたら、


チャリラ~♪


今度は聞き覚えのある極妻の着信メロディが。


んげ!


大音量で流れるそのケータイの着メロに、今度こそはっきりと客たちが後ずさるのが分かった。


慌ててケータイをバッグから取り出して手に取ると、サブディスプレイには




着信:叔父貴




と、なっていて、あたしは違った意味で固まった。


な、何でこのタイミングで掛かってくるの?



それはまるではかったように―――



思わず叔父貴が近くに居るのかと思ってキョロキョロしたが、あたしの視界に叔父貴のスラリと高い…そして美しく目立つ姿はなかった。


~♪


着信音は鳴り続ける。


ど、どうしよう……


でも悩んだのは実際数秒ほど。あたしの指は自然にケータイの電源を切っていた。


まるでシャットアウトするように、





叔父貴からの着信を―――拒否してしまった。






< 129 / 776 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop