。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
急に泣き出したあたしに戒がびっくりしたように目を丸めて、宥めるようにあたしの肩に手を置く。
いつでもあったかい戒のぬくもりに、ドキドキと言う胸の高鳴りよりも安心感の方を多く感じた。
「ごめんな。もしかして探してたん?俺も朔羅を探して…」
言い終わらないうちにあたしは言葉をかぶせた。
「戒。今日は家に帰りたくない。
あたし、あんたとまだ一緒に居たい―――」
「朔羅―――…?」
「一緒に居たい」
ぎゅっと戒の手を握ると、何も言わずに、戒は熱い温度であたしを抱き寄せてくれた。
――――
――
帰りたくない、って勢いで言っちゃったけど、このあとどーすれば…?
ってか二人帰らなかったらヤバいよな。今度こそマサに勘付かれる恐れ大!!
「アリバイ工作っての?やっといた方がいいよな」
おずおずと戒を見上げると、
「任せろ♪そうゆうのは得意だ♪」
と言ってスチャッとケータイを取り出す。
得意って……
戒は「ん゛んっ」と軽く咳払いをして声を整えると、まったく無駄のない動きでケータイを耳に当てた。
誰に掛けるかと思いきや、
「もしもし~?龍崎さんのお宅ですか?はじめまして。川上リコの母ですぅ」
え!家っ!?
ってかその声!!
リコのママ―――!!?