。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
マックに行くって言ったけど、連れて行かれたのはイタリアンぽいレストランだった。
カントリー風の割りとカジュアルで可愛い感じの店で、あたしたちでも気軽に入れそう。
お値段もリーズナブルだったし、種類も豊富。店内は女の客の割合が多かった。
戒は何も言わずまっすぐここに来たけど、何でこの店知ってたんだろ。
「前雑誌に載ってた。お前好きそうだな~って思って何気なく頭に留めておいてよかったぜ」
何気なくって……すっげぇな。
確かにあたしが好きそうな店だけど。そうゆうリサーチ??みたいなさりげないところが、いかにもスマートでかっこいいよな。ってか慣れてそうだ?
なんて思っていると、戒の腕があたしの肩に伸びてきた。
ぎゅ
とふいうちに抱き寄せられびっくりしてると、
「あのね~朔羅ちゃん、俺普段はそんなことばかり考えてるわけじゃないのヨ?」
「は?」
「お前今、慣れてるな~とか思っただろ」
低く言われて、「何で分かったんだ?」と返した。
「お前の考えてることぐらい分かるわ。でも店のリサーチしたのなんてはじめてや。
俺、あいつらにはやっぱりどうあっても年齢や立場で勝てんし。
こゆうとことでしっかりリードしたい」
あいつら―――……ってのが誰を示しているのか聞かなくても分かった。
叔父貴―――
キョウスケ…
「こんなこと言って…自分かっこわり…」
戒は恥ずかしそうに僅かに頬を染めると唇を尖らせて、こめかみの辺りを掻いた。
かっこ悪くなんてないよ。可愛いし。
一生懸命で、がんばってるのはあたしだけじゃなかたったんだな。
そのことが―――嬉しい。
同じスピードで同じだけの情熱で、
あたしたちの恋は育っていく。
ゆっくりかもしれないけど、確実に次の瞬間にはもっと好きになってる。
昨日より今日。今日より明日―――
十年後、二十年後―――きっと愛が溢れてるよ。