。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
「プッ」
戒が目の前で小さく吹きだす。
「何だよ。どーせあたしは可愛くできねぇよ」
「可愛くしなくてもいいって。お前はそのままで充分。そっちの方が面白れぇし。ってかあそこまであからさまだと大抵の男は引く」
そ、そーゆうもんなの…?
そろりと隣のテーブルの男性客に目を向けると、確かに男はキメキメの彼女とは反対にけだるそうにしていた。
ってか面白いって…それ褒め言葉じゃねぇっつの!
「俺ペペロンチーノのセットに決まった♪お前は?」
「へ?ペペロンチーノ!?」
そんなニンニクたっぷりのパスタをチョイスする!?
これからチューするかもしれねぇのに。それとも戒はそのつもりがないのかな…
悶々と考えて、結局。
「ガーリック上等!あたしはガーリックとモッツァレラチーズのパスタだ!」
やっぱり食いたいもん食わないとな。腹が減っては戦ができねぇしな!
って……結局そこに行き着くわけだ。
―――食事は楽しかった。
バイトの話や家での話。
リコや千里の話もしたし、キョウスケの話も―――
「あいつ元気なかったけど、何かあったの…?」
気になってたことをちょっと聞いてみた。
「あー…ストーカーっての?遭ってるみたい」
「す、ストーカー!?あいつが!?」
「加害者じゃねぇぞ。被害者だ」
「や、それは分かるけど…ってかあいつ誰かを尾けまわすほどの気力なさそうだもんな。
“面倒”とか言って終わりだぜ、きっと」
ははっと笑うと、
「お前、俺よりあいつのこと分かってるじゃねぇか」
と、戒がちょっと面白く無さそうに口を尖らせた。