。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




戒にその気がなかったらどうしよう。


ってか強引に連れてきちまったけど…


と、部屋の写真が並ぶパネルの前で少しだけ後悔。


でも


悩んでても仕方ない!


えぇい!女は度胸だ!!


「あたしここがいい」(部屋の内部が西洋のお城っぽくて、お姫さまみたいだったから)


ポチっと部屋のパネルを押すと、


「今日のお前大胆だな…」


と戒が一言。


引かれたかな…と一瞬思ったケド、


「ドキドキ戒くん♪」


と戒は何やら楽しそうに心臓の当たりを押さえている。


心配したあたしがバカみたいだ。


「一生ドキドキしてろ」


そっけなく言ってエレベーターに乗り込もうとすると、


「待ってよ。朔羅さ~ん♪」


とメガネの可愛い声で戒が慌てて追ってくる。


エレベーターが閉まる寸前、若いカップルが帰りの階段から降りてくるのがちらりと見えた。


二人とも情事のあととは思えないほどあっさりとした顔つきで、何事もなかったかのように出口から帰っていく。


それを見て、急に恥ずかしさと緊張が一気にきた。


あたしは戒に悟られないよう、そっと心臓の当たりを押さえた。







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