。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



部屋はパネルの写真より落ち着いた部屋だった。


あの、あからさまなキラキラ豪華でいやらしい感じじゃない。


あたしが部屋の中を覗いていると、


パタン


あたしの背後で扉が閉まる音がした。


ドキリ!


心臓が大きく鳴ったが、


ここまで来て逃げ出すとかはなし!そう自分に言い聞かせて、キっと前を向いた。


しかし……


ここまで来てどうすればいいものだろうか。


あからさまにベッドに誘うってのもどうかと思うし、前のようにトイレに逃げ込むわけにもいかない。


何せ今日はこないだと違って覚悟してるわけだからな。


みんなどうしてるんだろう。


マンガやドラマでは、する前にシャワーを…


シャワー!


ぎゃぁ!何かリアル!!


顔から火が出そうになってあたしは慌てて顔を振った。


「なぁに考えてんだよ」


すぐ隣で戒がちょっと苦笑いであたしを見下ろしていた。


まるであたしの内心を見透かしているような笑顔だった。何て答えればいいのか迷っていると、戒が繋いだままの手をちょっと引いた。


ドキリとして戒を見上げると、





「とりあえず、歯磨かん?」と言い出し、





何を言い出すのかちょっとドキドキしてたけど、何だか拍子抜け。しかも、歯磨きかよ。


「は?」


「うん、歯♪」


戒はご機嫌に言って洗面所まで連れて行った。





< 141 / 776 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop