。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
部屋はパネルの写真より落ち着いた部屋だった。
あの、あからさまなキラキラ豪華でいやらしい感じじゃない。
あたしが部屋の中を覗いていると、
パタン
あたしの背後で扉が閉まる音がした。
ドキリ!
心臓が大きく鳴ったが、
ここまで来て逃げ出すとかはなし!そう自分に言い聞かせて、キっと前を向いた。
しかし……
ここまで来てどうすればいいものだろうか。
あからさまにベッドに誘うってのもどうかと思うし、前のようにトイレに逃げ込むわけにもいかない。
何せ今日はこないだと違って覚悟してるわけだからな。
みんなどうしてるんだろう。
マンガやドラマでは、する前にシャワーを…
シャワー!
ぎゃぁ!何かリアル!!
顔から火が出そうになってあたしは慌てて顔を振った。
「なぁに考えてんだよ」
すぐ隣で戒がちょっと苦笑いであたしを見下ろしていた。
まるであたしの内心を見透かしているような笑顔だった。何て答えればいいのか迷っていると、戒が繋いだままの手をちょっと引いた。
ドキリとして戒を見上げると、
「とりあえず、歯磨かん?」と言い出し、
何を言い出すのかちょっとドキドキしてたけど、何だか拍子抜け。しかも、歯磨きかよ。
「は?」
「うん、歯♪」
戒はご機嫌に言って洗面所まで連れて行った。