。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。




しかし……


これと言って会話が思いつかん。


「「…………」」


再び沈黙。


おぃ!戒!!何か喋れよ!ってか喋って!


じゃないと、緊張し過ぎて爆発する!!


何て一人で焦っていると、背後から戒の手が伸びてきてあたしの髪に触れた。


長い髪は今はクリップで止めてある。その毛先を僅かに引っ張って、


「泡、くっついてる。どうしたらこんなとこにくっつくんだよ。コントみてぇ」


とちょっと面白そうに笑って、戒は綿のようにくっついていた泡を手に取り、ふっと息で飛ばした。


戒が吹き飛ばした泡が丸いシャボンになって宙をふわふわと舞う。


その行方をぼんやりと眺めていると、戒がふいにあたしの耳元に顔を寄せてきた。


ドキリとして固まると、


「髪の毛、くるくるふわふわ。パーマ?天パ?」


と囁くように聞いて来る。


「て、天パ!か、戒は?戒もふわふわしてるよね!あれ??でも、ガッコのときはさらさらしてるし……」


「俺のは半分天然で半分パーマ。学校にはあんまセットしていかないから」


「へー…そうだったんだぁ。知らなかった…」


って何普通の会話しちゃってんの!あたし!!


なんて自分で自分に突っ込みを入れていると、





「朔羅………抱きしめていい?」





ふいに戒が聞いてきて、あたしは目を開いたまま今度は本当に固まった。






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