。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


「ああ…俺が餌をやらなかったことで、明日水面に浮かんでたらどうしよう」


さめざめと戒は顔を覆って泣き真似した。


てかこの悲しみよう。溺愛してんな。


ま、あげたあたしとしては可愛がってくれて良かったっちゃ良かったけど。


「キョウスケがやってんだろ。お前の愛人だったらお前に似てタフだ。って言うか一回ぐらい餌を忘れたぐらいで餓死しねぇよ」


そう言うも、戒は心配そうにケータイを取り出した。


「響輔にメール送っておこ」


「ああ、そうしろ」


呆れたように言って、白い目でその様子を見ていると、


「愛人で思い出した。大阪に残してきた現地妻は元気かな…」


なんて深々とため息をつく。


愛人に、現地妻……


「お前どんだけ女が居るんだよ!!」


思わず勢い込むと


「俺の現地妻の“みぃちゃん”♪見る??」と、戒はマイペースにケータイを見せてくる。


てか聞こうよ人の話。超絶マイペース男だな!


でも


ケータイの画面に映し出されていたのは…


「可愛い!」


あたしがそう勢い込むほど可愛い猫ちゃんの写真だった。


まだ子猫なんだろうな。ちっちゃくてふわふわの白と茶色の混じった毛の猫ちゃんだった。


大きな黒い目が印象的な可愛い子ちゃん♪だ。


「でもなんかこの子…みぃちゃん、ぐったりしてね?大丈夫??」


小さな耳が前に垂れていて、大きな目もちょっと伏せがちだ。


「そっかぁ?」と戒は疑うような目を細める。


「毎日一緒にねんねして、毎日たくさんごはんをあげて、毎日チューして、可愛がって愛したらそーなった」


あー…愛し過ぎね…


こいつって愛情深いけど、みぃちゃんにとっては迷惑なヤツだよな…


「と言うことはだ、俺が毎日朔羅を“愛したら”お前もそーなるってことか?」


う~む゛と唸りながら首を捻る戒。


何故だ…


何故なんだ。



“愛したら”の響きが、やらしく聞こえるのは!



やっぱりあたしこの状況危険なんじゃ!!





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