。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



戒がタバコを口から離す手を止めて、目を開いた。あたしの髪をいじっていた指先がぴくりと動き、それも動きを止めた。





「ヤク―――……阿片……オピウム―――」





「は……?」


「気付かなかったか?彩芽さんがつけていた香水。オピウムだったよな」


戒が勢い込んで、そのふしにタバコの先から灰が落ちた。


その白い灰が戒のローブから覗いた脚に落ちて、


「ぅわ!あちっ」


戒が声をあげて飛び上がった。


「だ、大丈夫かよ!」


あたしも慌てて戒の脚を覗き込むと、変な体勢だったのか、それとも着慣れないローブのせいだろうか。


あたしがローブの裾を踏んで、体勢が崩れる。


「わ!」


「ぉわ!」



あたしはみっともなく戒の膝の上に崩れ落ちた。


「ってー、大丈夫か?朔羅?」


あたしを受け止めようとした戒がソファの肘掛に背を付き、あたしは何とか戒の脚の間で止まっていた。


「…大丈夫。落っこちなくて良かった~」


それでも腰を捻ったのか、変な体勢で起き上がるのが一苦労。


「ごめん、戒」


ちょうどいい場所にあった戒の膝に手を置いて起き上がろうとしたが、


目の前にローブの合わせ目が僅かにはだけた戒の引き締まったウェストが!


い、いつ見ても引き締まった美しいウェスト!


じゃ、ねぇ!!


し・か・も


「もーちょいそのままでええよ♪」


戒は横たわったままにやにや。


は!?


良く見ると、前がはだけたあたしの胸元が戒の脚に密着している状態!






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