。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。


ぎ、


「ぎぃゃぁああああああ!!」


ドン!!


あたしは叫んで、戒を今度こそソファから突き落とした。


「ってぇーー!!」


戒が喚きながら、頭を撫でさする。


「お前!俺様の頭脳がイカれちまったらどーしてくれるんだよ!」


「そのエロい考えがちょっとでもおさまってくれりゃ、こっちとしてもありがてぇよ」


ふん、と鼻を鳴らして腕を組むあたし。




でもさっき―――





一瞬だけ


戒の太ももに彫られた昇り龍の紋と、あたしの代紋が重なった。


一匹ずつだった龍が―――二匹だった龍が、繋がって一つの龍になった。


黄龍はつがいの龍だ。



あたしの龍と対になっているのは、


戒の昇り龍。




あたしはソファの下でまだ、痛そうに腰や脚を撫でさすっている戒に手を差し出した。


「悪かったな、突き飛ばして。その……ご、ごめん…」


だぁー!!!こんなときまで素直になれないあたし!


可愛らしく『ごめんね♪』って何で言えねぇんだよ!


でも戒は全然気にした様子を見せずに、




「わりぃな。サンキュ」




あたしの大好きな柔らかくて明るくて、それでもってどこか色っぽい笑顔で、ぎゅっとあたしの手を握ってきた。







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