。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
その日あたしは戒に抱きしめられてベッドに入った。
オオカミ戒に何かされるかもと最初はビビってたけど、戒はあたしを抱っこして満足みたいで、
「今日はなんか疲れちゃったね♪」
と言ってちょっとだけ布団から顔を出して上目遣いでふわふわ笑う声はメガネのものだった。
きゅ~ん
あんた何でそんなに可愛いんだよ!
まるで子ヒツジみたいなふわふわ柔らかい戒を見て、あたしの心臓が変な風によじれた。
いや!油断するな、朔羅!こいつはいつ豹変するか分かったもんじゃないからな!
と、構えてはいたけど、
数秒後に、戒の心地良さそうな寝息を聞いて、
寝るの早っ!と心の中で突っ込んじまった。
おやすみ3秒…も経ってねぇぞ…
ちらりと戒の寝顔を見ると、安心しきった無邪気な寝顔で口元に淡い笑みを浮かべていた。
思えば、こいつも遣わなくて良い気を遣って疲れてたんだろうな…
穏やかな寝顔が…
キュン、可愛い♪
てかやっぱこいつ美少年。女の子みてぇ。
だけどこの体には確実に極道の血が流ていて、灼熱の凶暴さが備わっているのに―――愛情深くて人情に厚い。
戒の額に流れる少し長めの前髪をすくうと、戒はくすぐったそうにちょっと身をよじった。
起こしちまったかと思ったけれど、それは違うみたいで戒は安心しきったような寝顔であたしの頬に擦り寄ってきた。
子供みたいで可愛い……♪
戒の頭を引き寄せて、柔らかい髪を撫でながら―――
あたしも、いつになく安心して
いつしか眠りに落ちていた。