。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
キリは少しだけ考えるように首を傾け、
「スケジュール調整をしてみますわ。何とか行ける様に工夫を」
「ああ、頼む。それからもう一つ。
生コン(生のコンクリート)を10t用意しておいてくれ。大至急な」
会長はさっきの苦しそうな無理やりと言った感じの笑顔から一転、嬉々としてニヒルに笑った。
キリはそれに何も答えず眉をしかめて肩を竦めると、
「そういうことは鴇田部長にお願いしますわ」
と言って今度こそ立ち去っていく。
扉が閉まると、
「面白い女だ。秘書にして正解だったな」
と会長は楽しそうにちょっと笑った。
本当に―――面白い女だよ、あいつは。
だから気に入った。
だけどその気持ちを押し隠して、
「私もあなたの面白すぎるジョークに笑いを堪えるのが大変です」
そっけなく言うと、
「まぁ冗談だ。だがそれぐらいの気持ちで動くつもりだ。
今回の“スネーク狩り”で、不逞な輩を一斉清掃する。
青龍と白虎の盃の前にきれいにしておくのが必要だろう?」
一斉清掃―――
それもいいかもしれない。
次の代に明け渡すとき、出来るだけ良い状態がいい。
何と言ってもまだ“彼ら”は歳若いのだ―――
前回は、こちらが驚くほどの見事なまでの連携プレーで意表を突かれた。
さて、あの三人は今回の件で、どうでるかな。
それを考えるとちょっと楽しいんだ。
若者たちよ、
イチ、そして玄蛇は―――手強いぞ?
俺は口の端で小さく笑った。
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