。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
二人の様子が気になって宿題どころじゃない。
「リコ、ここの問題さ~」と千里はいつも通り能天気にリコに助けを求めている。
「教えてあげるから、ドリンク持ってきて。オレンジジュースね」
とリコも相変わらずだ。
千里がリコのオレンジジュースを入れに席を外すと、
「どうしたの、朔羅。あの人やっぱ知り合い?あ、彩芽さんの方じゃなくてね」
とリコが心配そうに小声で聞いてきた。
「や!知り合いじゃない……と思う」
歯切れ悪く返すと、
「もしかして、叔父様の関係者??」
とリコが聞いてくる。
「それも違うと思う…」
鴇田やタイガも、見た感じ筋もんぽく見えないけど、それとはまた違う感じ。
不思議と『危険』とは感じない男だが、できれば関わりたくないような、避けて通りたいような……そんな気分だ。
リコの分のドリンクを持って千里が帰ってきて、その数分後に彩芽さんと男も席を立った。
「それじゃあ朔羅ちゃん、お先に」
あたしたちのテーブルに乗ってる伝票を男が取り上げ、
「ここはご馳走するよ」とまた爽やかに笑顔を浮かべる。
「え!いや、さすがにそれはいいですよ!!」
慌てて言うも、
「いいの、いいの。こう見えて俺は結構リッチだからね」
とスマートに笑う。
こう見えて…って言うかまんまリッチな感じですが。と突っ込みを入れたかった。けどそれはやめた。
深く関わりたくない。ってのが正直な理由だな。
「あ、ありがとうございます」
あたしはぎこちなく頭を下げると、二人はにこやかに去っていった。