。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。
ゴスッ
バキッ
俺の脚技に男はあっという間に地面に沈んだ。
それを確認したのか、響輔が最初に逃げ出した男の腕を後ろで拘束しながら出てきた。
女は震えながらも涙を流して、力なく地面に座り込んだ。
「大丈夫ですか?」
響輔がいつもの調子に戻って、派手なドレスに身を包んでいた女の下に屈みこみ、羽織っていたシャツを女の肩に被せる。
「…あ、…あたし騙されて……」
泣きじゃくりながら顔を覆う女。
響輔が先を促すように肩を抱き、落ち着くように何か言葉を掛けている。
「知らなんだな。お前らヤクだけじゃなく、女を騙してもう一店経営しとったのか」
「龍崎会長に報告されてるのは、このクラブZだけや。違法なことは当然だが、これが会長の耳に入ればどうなるかな?」
響輔がドスを含ませて男を見上げる。
「し、知らない!俺は知らない!!女だってカジノホステスとしか聞いてない!!」
男が慌てて言って、それでもはっとしたようすぐに口を噤む。
「カジノ?」
俺が睨むと、
「し、知らない!」
「言わなきゃ吐いてもらうだけやで。二度とお天道様拝めんほど、ギッタギタにいてまうぞ」
俺が関節を鳴らしながら近づくと、男は顔色を青くして後ずさった。
だけど背後には壁があるのみ。逃げる場所を失った男はみっともなくへばりつくと、ごくりと唾を飲み込んだ。
俺が腰を捻って脚を振りかざした。狙いは男の喉元だ。
その足先がそいつの首に命中する直前に、
「う、裏カジノがある!!」
男は叫び声を上げた。