。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



「響輔」


俺は男を締め上げてる響輔を目配せした。


響輔が無言で頷いて、男の腕を捻り上げながら後ろを向かせる。壁に叩きつけるようにして体を押し付けると、


「いてっ!!」男が呻いた。


俺は男の尻ポケットから長財布を抜き取って中を探った。


万札が十数枚出てきて、


「ほ~お、ぎょうさん持っとるやん♪女売った小金か??」


俺は札を取り出して宙でひらひらさせた。


俺はそれを女に持たせて、


「少しの間これで雲隠れしい。あんたの借金俺らが返したるで」


と、安心させるよう笑いかけた。


「借金を……そ、そんなの無理だよ!だって500万以上だよ!」女が驚いたように目を開いて、


「それぐらいなら一夜で稼いだる。裏カジノでな」


俺がにっと笑って響輔を見ると、響輔もちょっと頷いた。


「この人はそういうことに関してはやたらと強いんです。ことが終わり次第龍崎会長に公にして、畑中組も取り潰してもらうさかい安心してください」


響輔が一層強く男を捻り上げ、


「と言う訳や。ここで逃げ出すか、龍崎会長の目に留まって東京湾行くか、お前は今選択しな」


とドスを含ませた声で男に囁きかけ、男は目を開いた。


「仲間に垂れ込んだって無駄やで。どの道龍崎会長が動けばお前ら全員、間違いなく東京湾行きや。


今の時期、水泳するには気持ちええかもしれへんけどな


コンクリ詰めされたら、いくらオリンピック選手並みでもそれも無理やなぁ♪」


俺が楽しそうに笑って脅しを掛けると、男は益々顔を青くして響輔が腕を緩めた隙に


「ひ、ひぃーーー!!!」


みっともないぐらいの叫び声をあげて、逃げていきやがった。





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