。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



「それ、ほんまの話しか?」


俺が聞くと、女はちょっと気を悪くしたように顎を引いた。


「本当の話しよ」


「奥さんが居て、子供が居るって聞いたんですけど」


と響輔も聞く。


これは全部朔羅情報だ。アイツが彩芽さんに聞いた話しらしい。


「それガセネタよ。確かに歳はいってるけど、一度も結婚したことないらしいわ」


「じゃぁ質問を変えるワ。彩芽って女がホステスに居た覚えは?」


「アヤメ?さぁあたしが入ったのは一年半ぐらい前で…その前はどうか分からないけど」


「一年半前…ってことはドクターと彩芽さんが付き合い出す前の話しですよ。源氏名や偽名を名乗っていたのなら別やけど、その時点で居なかったと考えるのが妥当ですね」







「ああ、彩芽さんの話は全て嘘ってことになるな」







俺は顎を手を置いて目を細めた。


「だけど何でそんな作り話…」


「分からん。でも畑中組もクラブZも存在する。


そしてその疑惑の畑中組にはヤクの売買と、更には闇の違法カジノを開いてるって言う噂が浮上してる。



こりゃ相当きな臭いな」



「ちょっとなんなの、さっきから。そのアヤメって女が何か関係してるの?」


女は怪訝そうに俺たちを交互に見てきたが、


「いや。あんたのお陰で色々知れたし、こっちは助かった。


約束した残りの借金はちゃんと稼いで、あんたの手に渡るようにするさかい安心しい」


俺がにかっと笑うと、女は安心したように頬を緩めて、




「あんたたちが何者でも関係ないけど、あたしにとっては正義のヒーローだわ」



と笑った。


俺は再び響輔と目を合わせて、ちょっと苦笑を漏らした。




生憎だが、俺たちは正義のヒーローでも救いの天使でもないんだ。





ヤクザの跡取りって知ったら、




あんたはどう思うかな♪



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